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今では一般的となっている「フリーミアム」という手法、私がサービスを開始した2005年頃は「何のために事業してるの?」、「そんなのはサービスではない」、などとよく言われました。

「フリーミアム」とは、簡単に言えば無料でサービスを提供して、その中の一部の人に有料のサービスを販売したり、そこに人を集めることでメディアとしての広告を販売する、など無料サービスを利用した手法です。

その当時は当然、そんな言葉はありませんでしたが、そのようなやり方は昔からありました。
LinuxやGoogleがそうですし、マクドナルドのハンバーガー無料件などもそうです。
しかし、無料でサービスを提供するということには、ちょっとおかしいんじゃないか、という考えの方が大半でした。

小さなベンチャー企業が大手も相手にしながら割って入る方法として、本気で上を目指すならとらない手はないと言えるほど、その当時は有効な方法だと思いましたし、そうしたからこそ今このポジションを取ることができ、一つの事業として確立させることができたと思っています。
しかし、事業としての評価は冷ややかなものでした。


この方法が功を奏し、ニッチではあるけれど一つの市場を獲得することができましたが、それでもやはり必要となるのが収益化するビジネスモデルです。

今で言う「マネタイズ」というやつです。
どうやったら無料サービスから収益化していけるか、というやつです。


今回、この記事のタイトルに「ITベンチャーの失敗/複雑なビジネスモデル」としましたが、複雑なビジネスモデルが失敗要因ということを言いたいのではなく、むしろ逆で、複雑なビジネスモデルになることを受け入れて事業をしなかったことに、かなりの無駄と無理を生じさせたことに問題があったことを伝えたいと思いました。 ..ので書きます。

いつの時代も新しいもの、見えないもの、には疑いの目で見られ、市場に浸透して始めて認められるものです。
それを覚悟しているかどうかで、とる行動も変わってきますので、もし自分の中で見えているもの、想像しているものがあるならば、あまり周りの意見は聞かず、そちらを信じて進む方が良いと思います。(迷わずそうしていればよかったと思っています。)

仮に周りの意見を聞いて進めたとしても、一時的に多少稼げるサービスにはなるかもしれませんが、ありきたりの競争力を持たないサービスとなり、自分が描いていたイメージや目的からはかけ離れたつまらないサービスとなって終わるのがおちだと思います。
(それをビジネスとするなら別の話ですが)

特にこちらのビジョンや感じている可能性を理解しようとしない、収益だけが事業だとするベンチャーキャピタルの声には要注意です。
彼らは自分の利益に対するビジョンしかもっていなく、その物差しから外れることを極度に嫌います。
そこに行き着くための一手だとしても、彼らにはその理解ができないので、「今ある新しいもの」を勧めてきます。
しかし、ないものに対して試行錯誤して取り組んでいるベンチャー企業にとっては、それはもう古いものになっていて取り入れられないのですが、それを理解してはくれません。

新しいものをどんどん取り入れて儲かるビジネスを行うことがベンチャー企業というならそうなのかもしれませんが、それって本当にベンチャー企業なのでしょうか?

自分がイメージした新しい市場を想像して、新しい価値を創造する、そんな企業でありたいと思っています。

話がそれてしまいましたが、もし、私と同じように思い、挑戦していこうとするなら、ありきたりですが、自分の考えを信じて進めばいいのだと思います。
自分に自信をなくし、人の意見を取り入れて楽をしようとしたところに失敗がありました。
過剰な投資と投資すべきところに投資しなかった時間のロスが成長を止めてしまいました。

ただ、継続させていくためには収益が必要です。
更に発展していきたいときには更なる資金が必要です。

ここで柔軟な考え、複雑なビジネスモデルがありだということを受け入れて進むことがポイントになると思います。

その立ち上げたサービスから収益が上がっていくのが理想ですが、そうではない方法を考える必要があるかもしれません。
収益を上げないほうがいい場合もあります。
無理にサービスから収益を上げようとすると、せっかく立ち上がったサービスも崩れていくことがあります。
その労力に対するコストが何十倍にも膨れ上がることがあります。
むしろ、何もしないでアルバイトでもしていたほうが良かった、ということもあります。
そのサービスを活用して別の事業で稼ぐ、といった方法もあります。

それらは時代と環境の変化でどんどん変わります。
特にインターネットの業界は無料という究極の中での競争にさらされているので、その中に入っているなら一筋縄ではいかないところがあります。

ツイッターのビジネスモデルは広告モデルに向かっていますが、私はそうではないと思っています。
別のビジネスモデルに向かった方がいいと思っています。

きっと、これを聞いて、「いや、ツイッターがそう言うんだからそれがベストなんだろう」、「普通はそこで稼ぐだろう」、と思われるのではないかと思います。
そこに、失敗、あるいは遠回りをする要因があるということを言いたいのです。

環境はどんどん複雑になっています。
その複雑な中に対応していくビジネスモデルを考えること、そしてシンプルなビジネスモデルに作り上げること、それが目指すところになると思います。

そのためには複雑さを受け入れる、その中で見出した自分のやり方を信じて取り組んでいけるかどうかが問われる世界であるように思います。


複雑なビジネスモデルになる可能性があることを受け入れて、あなたなりの知恵で見出して欲しいと思います。
そして、そうやって見出したものは、いずれ「スタンダードなやり方」、と言われるようになります。

そんなもんです。



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