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※この記事は自分がITベンチャーとして進んできた中での体験から学んだこと、感じたことをそのまま綴っています。あくまで私個人の体験からの考えであり、私自身の性格や環境に大きく影響している部分が多くあります。一ベンチャー企業の経営者として感じたことを、これから起業しようとしている方、同じ境遇にいる方と共有していけたら嬉しく思います。
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先日の予告どおり、暴露談(?)を始めていきたいと思います。


第一回目となる今回、はじめに何を書こうかと考えましたが、最も失敗に起因してるなぁ、と感じたことを書こうと思います。

それは、ずばりタイトルの通り、「正しくやろうとしてはいけない」、ということ。

このためにずいぶん無駄な時間を費やしたし、遠回りもしたし、ひどい目にあったと思っています。

自分で言うのもなんですが、私自身、根が結構真面目です。
真面目に生きられているかというと、それはまた別の話ですが、「こうありたい」、「こうあるべきだ」みたいなものを必要以上に抱えてしまう癖があります。


ここに落とし穴があります。


また、学校教育の影響でしょうか、全てのものには答えがある、と思っています。


ここにも落とし穴があります。


ベンチャー企業は人には見えていないものを形にしていくことを事業としている企業です。
そのため、常に模索を続けるわけですが、その作業はとても地味で不安で心細い環境の中にいます。
自問自答を繰り返していく中で、少しでもヒントとなうようなものがあるようなら、それを掴み取りたくなる衝動に駆られます。

そんな中で、「正しい答え」、は最も魅力的で最も安心する材料として心の不安を埋める格好の材料になります。


正しい答えなら、きっと成功に導いてくれるでしょうし、心の支えにもなります。そして何より誰も文句を言わず、そのやり方を評価してくれます。


・・・実はこれ、最悪です。


そもそも、ここで言う「正しい答え」、はもう過去のものだし、前提が違います。
それは、その人の「正しい答え」であって、あなたのものではありません。

何も疑わずに純粋にまっすぐ進めば奇跡的にその通りの結果が得られるような気もしますが、必ず次の矛盾した「正しい答え」がやってきます。

正しい答えは外から与えられることはありません。
正しい答えは与えられずとも持っているもので、それで戦うしかないと思った方がいいです。


例えば、
「ターゲットを絞れ」

これを聞いて、
そうだ、そうだ、ターゲットを絞れば訴求しやすくなるし、合理的で効率的だ、我社もターゲットを絞って積極的に行動していこう!

こんな気分になると思います。

でももし、あなたの商品を欲しがる人を、あなたが見えていないとしたら一か八かの賭けでしかなくなります。
この人に、と思って売ろうとしたものが全く別のタイプの人に売れることだって多々あります。
そもそも、ターゲットを絞らない方がいいことだってあります。
事実、当社のサービスPINGOO!は老若男女、個人から大企業まで様々な方が使ってくれており、うまくやっています。
これを20代のアフィリエイターに絞って・・などとやっていたら事業の目的自体を見失ってしまいます。

ある程度市場がある中で事業をし、顧客をもっている企業であればこの教科書は頼りになるかもしれません。
しかし、商品も定まらず、先も分からないベンチャー企業にとっては、この常識は鵜呑みにできないはずです。

周りと同じように手段を選び、迷わず事業をしていきたいという気持ちは分かります。
でも、やっぱり正しい答えを探すのは諦めましょう。


私自身、何度もこれにはまってきたように思います。
それだと思って試してみるたび、一見うまくいくように感じでも必ず反動があり、いつまで経っても先に進めない、という状況になります。


そんなことより、自分がこうしたい!と思うことを人がなんと言おうとも意見も聞かず、どんなに非難されようとも実行していく方が何倍も増しで進歩できます。

その代わり、失敗も覚悟しなければいけません。
失敗も覚悟できるから挑戦ができているはずです。
挑戦していくからその先の可能性が見えてきます。

そんなことは、やっている本人にしか分かりません。


どんなに立派な経営書であっても、どんなに有名な講師のセミナーであっても、どんなに優秀なコンサルタントのアドバイスであっても、心の中に「正しくやればうまくいく」などという甘い気持ちがある以上、期待通りにならないどころか、害になります。

本当に立派な人のアドバイスは勇気と気付きを与えてくれます。
そういった人からの助言は自分の中にある、本当の意味で正しい答えを引き出してくれます。
私にも何人かおり、心の支えとなってくれています。

しかし、大半は自分の価値観を押し付けるだけの人たちです。
この人たちの話は聞いてはいけません。
ここに負けてしまうと正しい答えを探し始めるようになります。

運良く、自分を活かしてくれる素晴らしい人に出会えると加速できるのですが、世の中は正しさを求める声の方が圧倒的に大きいのが現状です。


この罠にはまらないようにするのは非常に難しいのですが、こういった罠があることを知りながら、良い人との出会いや自分を信じる勇気、それと、それらをかき消すだけの欲求をもって進んでいくことが、ベンチャー企業が進んでいくための必要条件になっていくのではないかと感じています。


「常識」や「正解」などという概念に囚われず、自分を信じて歩んでいきましょう。




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